Stainlessステンレス
長寿命でリサイクル
可能なステンレス
ステンレスとは
ステンレスとは、鉄にクロムを10.5%以上含ませた合金のこと。耐食性や機械的性質をさらに向上させるため、ニッケルやモリブデンなどの元素が添加されています。だからひと口にステンレスと言っても、その種類はJIS規格鋼種だけで70種以上。海外規格や各メーカーのオリジナル鋼種も含めると200種を超えます。
このステンレスは、1912年~1914年にかけて、ドイツ、イギリス、アメリカでほぼ同時期に発見されました。そのうちの一つ、イギリスでは1913年に地金研究家H・ブレリアンが、出来損ないの金属をスクラップ置き場に捨てたところ、しばらくたったある日、そのスクラップの山に錆びていない鉄片を発見。それがクロムを13%以上含んだ合金だったのです。「汚れ(Stain)」と「無い(Less)」を合わせて「ステンレス」と名付けられました。
錆びにくい秘密は、鉄にクロムを添加することで表面に非常に薄い酸化皮膜が形成されるから。しかもこの膜はたいへん強く、たとえ破壊されてもまわりに酸素があれば再生して耐食性を保持します。偶然にも、スクラップからそんな“お宝”が出てきたわけです。
ステンレスは
なぜエコなのか?
ステンレスは、いつまでも錆びにくく美しいだけでなく、“エコ素材”とも言われています。その秘密は「高リサイクル率&メンテナンスフリー」。
なにしろステンレスは、寿命が来ても廃棄物にならず、高品位を保持したまま、ほぼ100%リサイクルが可能だからです。回収ルートが確立されているうえ、スクラップ需要は安定しており、現在使用されているステンレス原料の半分以上はスクラップから製造されています。高リサイクル率で環境にやさしいステンレスは、世界が目指す循環型社会の申し子ともいうべき素材なのです。
そしてさらにもう一つ「エコ」なのが「メンテナンスフリー」。ステンレスは長寿命で、一度製品化してしまえば半永久的に使用できます。製品化にあたって、環境に負荷のかかる塗装も必要としませんし、長寿命でメンテナンスを必要としないなら、それだけで資源やエネルギーの節約になります。いまや喫緊の課題となりつつある地球環境保全に向け、今後がますます期待される未来型素材と言えるでしょう。
鉄から
ステレンレスへ
ステンレスは、鉄などの一般的な鋼材に比べて材料費が高いため、従来はローコストが求められる用途には鉄にメッキなどの塗装を施した材料が用いられてきました。しかし、ステンレスは長寿命であることから、メンテナンスなどのランニングコストを考慮すると、長期的なライフサイクルコストは安くなります。
また、ステンレスは鉄に比べて硬くねばりがあるため、切断や削り・曲げなどの加工に、機械のパワーや刃物の硬さなどが鉄よりも必要となります。このことも、材料費の高さに加えて、ステンレス製品が高価になる理由となっていましたが、近年では技術面や材質面での技術開発が進み、加工性にも優れてきました。
「長寿命でライフサイクルコストが安く、加工もしやすくリサイクルが容易」となれば、いっそうの普及が進まないわけがありません。「鉄からステンレスへ」の流れは、各種製品メーカーやそのユーザーに熱望され、地球環境保全にも貢献する21世紀の素材のトレンドといっていいでしょう。
特性Characteristic
- 長寿命
- 高強度
- 高耐食
- 高耐熱
特長・メリットAdvantages
- 耐食性がある
- 耐熱性が高い
- 加工性が良好
- 強度が高い
- 熱伝導率が低い
- 保温性に優れる
- 電気抵抗が高い
- 意匠性に優れる
- メンテナンスが容易
- 不燃性